大阪版「剣道の心」と「唱和」


大阪版「剣道の心」と「唱和」の策定のお知らせ

 このたび大阪府剣道連盟では、剣道の魅力を分かりやすく紹介し、より多くの方々に剣道の良さを知っていただくために、大阪版「剣道の心」を策定しました。また、剣道を学ぶ上で志すべきものをわかりやすく解説し、子どもたちも理解できるように「唱和」を作成しました。

 これらのものは、全日本剣道連盟制定の「剣道の理念」、「剣道修錬の心構え」、「剣道指導の心構え」、全日本剣道連盟・長期構想企画会議資料とともに、森信三博士の教育論を基にして、当連盟・未来構想委員会(那須信男委員長)が中心となり、長期間の討議の上、作成したものです。

 会員の皆様にはぜひ、大阪版「剣道の心」および「唱和」を各所属団体にて広げていただきますよう、よろしくお願い致します。

平成30年5月15日
大阪府剣道連盟会長 鏡山博行

大阪版「剣道の心」と「唱和」(PDF) 全日本剣道連盟 長期構想企画会議資料(抜粋)(PDF)

大阪版「剣道の心」と「唱和」の策定の経緯


大阪版「剣道の心」

剣道は自己を耕す剣の道

剣道は相手を重んじる礼の道

剣道は生涯かけて学ぶ道

唱和(しょうわ)

1.「腰を立てる」正しい姿勢を身につけよう。

2.「何事にも負けない」強い心を持とう。

3. 呼ばれたら「はい」と応える素直な心を持とう。

4.「整理整頓」ができる気くばりの心を持とう。

5.「ありがとう」と言える感謝の心を持とう。

動画のご案内

大阪版「剣道の心」と「唱和」をご紹介する動画を制作しました。ぜひご覧ください。

大阪版「剣道の心」

大阪版「剣道の心」と全日本剣道連盟制定資料および長期構想企画会議資料との関係

大阪版「剣道の心」

剣道指導の心構え

長期構想企画会議資料抜粋


剣道は自己を耕す剣の道

思い

剣道は常に自分自身に問いかけ努力することにより、困難に出会っても逃げない、動じない強い心を育むものである。

全日本剣道連盟制定資料 「剣道指導の心構え」
竹刀の本意
剣道の正しい伝承と発展のために、剣の理法に基づく竹刀の扱い方の指導に努める。
剣道は、竹刀による「心気力一致」を目指し、自己を創造していく道である。
「竹刀という剣」は、相手に向ける剣であると同時に自分に向けられた剣でもある。
この修錬を通じて竹刀と心身の一体化を図ることを指導の要点とする。
(財団法人全日本剣道連盟 平成19年3月14日制定)
長期構想企画会議資料
文化性(歴史)
  • 剣は〈刀→木刀→竹刀〉という全剣道史を一貫するものである。
  • 本能を刺激しつつ、よりよい理性へと導く剣である。
  • 竹刀という剣は相手に向けられた剣と同時に自分にも向けられた剣である。殺人刀から活人剣へ。
身体性(個人)
  • 「上虚下実」の「自然体」と「構え」。
  • 「移動(下肢)と「打突(上肢)」の結合運動。上下肢のよりよい統合としての身体(意識・感覚・技法)の獲得。
  • 点(剣先)と線(刃筋)と面(左右の鎬)の剣遣い(刀→木刀→竹刀)。
技術性(対人)
  • 「構えから発して構えを持ち運んで、構えに至る」循環的運動の獲得。
  • 「構え」と「間合」の攻防による「懸待一致」の技遣い。
  • 「有効打突」に凝縮された「競技する姿の文化性」(気剣体の一致(要件の事実判断)→ 心気力一致〈玄妙な技‐要素の価値判断〉へ)。

剣道は相手を重んじる礼の道

思い

剣道はお互いに心技体を鍛え合う中で相手に対する感謝の心を養うものである。

全日本剣道連盟制定資料 「剣道指導の心構え」
礼法
相手の人格を尊重し、心豊かな人間の育成のために礼法を重んずる指導に努める。
剣道は、勝負の場においても「礼節を尊ぶ」ことを重視する。
お互いを敬う心と形(かたち)の礼法指導によって、節度ある生活態度を身につけ、「交剣知愛」の輪を広げていくことを指導の要点とする。
(財団法人全日本剣道連盟 平成19年3月14日制定)
長期構想企画会議資料
文化性(歴史)
  • 「剣道と暴力は紙一重」(本能を刺激しつつ、より良い理性へ導く教育)。
  • 礼に始まり、礼を尽くして闘い、礼に終わる。稽古と競技場面(相手の存在を拠りどころとして、自己を高め創造していく闘いの場面作り)。
  • 「禮」「躾」という字は剣道の「競技する姿の文化性」を象徴するもの。
身体性(個人)
  • 立ち方」「座り方」を折目正しく、姿勢を正して身体技法として実践展開する。
  • 歩み足歩行とそのすり足歩行(むり・むだ・むらなく自然体を持ち運ぶ)。
  • 充実した気勢と適正な姿勢で王道の「構え」を持ち運ぶ。
技術性(対人)
  • 「剣道の礼法」を相対で実践展開する。
  • 「自然体=構え」と捉え、姿勢(上虚下実の身体技法、背骨の立て方、目線と正対の目付)を相対の立ち稽古として、実施する。
  • 技の遣い方としての身体技法の基本がすべて「礼法」の身体技法、実践の中にあることを知る。

剣道は生涯かけて学ぶ道

思い

剣道は学び続けることにより剣道の奥深さが見え、老若男女がともに楽しめる日本の伝統文化である。

全日本剣道連盟制定資料 「剣道指導の心構え」
生涯剣道
ともに剣道を学び、安全・健康に留意しつつ、生涯にわたる人間形成の道を見出す指導に努める。
剣道は、世代を超えて学び合う道である。
「技」を通じて「道」を求め、社会の活力を高めながら、豊かな生命観を育み、文化としての剣道を実践していくことを指導の目標とする。
(財団法人全日本剣道連盟 平成19年3月14日制定)
長期構想企画会議資料
文化性(歴史)
  • 自然の摂理と人間の営みとを一体にものとして捉える。
  • 「生老病死」自らの体と向き合って生きる「養生思想」を育んできた。
  • 子供叱るな来た道じゃ、年寄り嫌うな行く道じゃ。
身体性(個人)
  • 「素振り」(一人稽古ーいつでも、どこでもー身体(意識・感覚・技法)の開発)
  • 本體は體の事理なり(本體を確かめ合う師弟同行の身体行)
  • 「初心忘れるべからず」(是非、時々、老後の三つの初心の大事)ー「守・破・離」の心境へ。
技術性(対人)
  • 修行(向上)と指導(下向)が同時である。
  • 「相互否定(殺人刀)から「否定的肯定(活人剣・教育と競技)へ、対立から調和へ。
  • 年齢とともに衰えを示す体力。年を負うごとに 完成度を増していく全身の統一と調和。この絶対矛盾の中で、自ら心身が「どう成るか」として実践的に探究され技は益々冴えていく。

唱和(しょうわ)

1.「腰を立てる」正しい姿勢を身につけよう。

思い

剣道で大切な基本姿勢は腰を立てる。すなわち、あごを引き、背筋を伸ばし、腹に力が入ったものである。
その正しい姿勢を常に保てる心を育む。

2.「何事にも負けない」強い心を持とう。

思い

何事にもあきらめずくじけず、最後までやり通す強い心を育む。

3.呼ばれたら「はい」と応える素直な心を持とう。

思い

自分の我(が)を抜き、相手を受け入れる素直な心を育む。

4.「整理整頓」ができる気くばりの心を持とう。

思い

剣道具を大事にし、靴やスリッパを揃え、まわりを見て行動できる気くばりの心を育む。

5.「ありがとう」と言える感謝の心を持とう。

思い

相手に対して常に感謝し、ありがとうの言葉が自然に出てくる心を育む。


「唱和」参考資料
森信三氏(教育哲学者)

立腰教育

「腰を立てる」

つねに腰骨をシャンと立てることー
これ人間の根性の入る極秘伝なり。
人間は心身相即的存在ゆえ、性根を確かなものにしようと思えば、まず躰から押さえてかからなければならぬ。
それゆえ二六時中、「腰骨を立てる」以外に、真に主体的な人間になる決め手はない。
「腰を立てる」ことは、エネルギーの不尽の源泉を貯えることである。
この一事をわが子にしつけ得たら、親としてわが子への最大の贈り物といってよい。
 1、腰骨を立て
 2、アゴを引き
 3、つねに下腹に力を抜かぬこと
同時にこの第三が守れたら、ある意味では達人の境といえよう。

しつけ(躾)の三原則

1.「あいさつを自分から先にする」

良好円満な人間関係を育む。

2.「名前を呼ばれたら「ハイ!」とはっきり返事をする」

自分の我を抜き、相手を受け入れる態勢をつくる。

3.「スリッパ・くつ等、履き物を揃え、椅子などをきちんと机に入れる」

物心両面のけじめ、しまりの土台をつくる。